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 Laboratory of Information Photonics,
 Department of Information and Physical Sciences,
 Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University


重畳による広視野・拡張被写界深度イメージング


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図1 デコンボリューションフィルタリングによる画像復元



図2 重畳による点像分布関数の三次元変化均一化


撮像系の視野や被写界深度は収差により制限されます。一方、画像に含まれるボケ(点像分布関数)が画像全体で均一であれば、デコンボリューションフィルタリングを適用することで鮮明な画像が復元できることが知られています(図1)[1]。私たちは、フォーカス距離や光軸位置の異なる画像を重畳することで点像分布関数の三次元変化を均一化し、単一のデコンボリューションフィルタリングの適用により三次元物体の高精細画像を取得する手法を提案しています(図2)[2]。この重畳イメージングにより、開口を制限したり複雑なレンズ系を構成することなく広い視野・深い被写界深度を持つ撮像システムを構成することができます。


図3 光学系の機械走査に基づく重畳イメージング




図4 複眼光学系を用いた重畳イメージング

重畳イメージングの実現のために、私たちはこれまで二通りの実装法をデモンストレーションしています。光学系走査に基づく実装法では、収差未補正の光学系の走査によりフォーカスと光軸の異なる複数枚画像を収集し、計算機上で重畳画像を生成します(図3)[3]。収差未補正の撮像系を用いて三次元物体の高精細イメージングが実現できる点、対象に関する事前情報(位置や形状)を必要としない点で優れています。複眼光学系(重複像眼、正立結像レンズアレイ)を用いた手法では、球面上に配置されたレンズアレイが光学的にフォーカス距離・光軸を走査・重畳します(図4)[4]。光学系走査に基づく実装法に比べ、シングルショットで機能を実現できる点で優れています。また、光学系を点対称に構成できるため、視野を全方位まで拡張することができます。

重畳による視野・被写界深度拡大技術は、投影システムにも応用可能です[5]。この場合、投影像の重畳により点像分布関数の均一化を実現し、対応するデコンボリューションフィルタリングは投影の前に実行されます。これにより、深い被写界深度を有し、視野を全方位まで拡張できるプロジェクタを構成することができます。

 

  1. J. W. Goodman, Introduction to Fourier Optics (McGraw-Hill, 1996).
  2. R. Horisaki, T. Nakamura, and J. Tanida, “Superposition imaging for three-dimensionally space-invariant point spread functions,” Appl. Phys. Express 4, p. 112501 (2011).
  3. T. Nakamura, R. Horisaki, and J. Tanida, “Experimental verification of computational superposition imaging for compensating defocus and off-axis aberrated images,” in Proc. of Computational Optical Sensing and Imaging (COSI), CM2B.4, June 2012 (California).
  4. T. Nakamura, R. Horisaki, and J. Tanida, “Computational superposition compound eye imaging for extended depth-of-field and field-of-view,” Opt. Express 20, pp. 27482-27495 (2012).
  5. T. Nakamura, R. Horisaki, and J. Tanida, “Computational superposition projector for extended depth of field and field of view,” Opt. Lett. 38, pp. 1560-1562 (2013).